□ 建築の経緯
Sさんから「別荘で話を伺いたい・・・。」との連絡を頂いたのは去年の秋でした。 いきなり携帯電話に連絡があり驚いたのですが、 話を伺うと、以前から建築を考えており、
(私も忘れていたのですが)一昨年も同じように当社に電話をかけた際に携帯番号が連絡してあったとの事。 その時はそのままになってしまっていた・・との事でした。
打ち合わせ先の案内された別荘は古くても改修もされていて、まだ別荘として十分使えそうな感じ・・。 建て替えには早そうだと思っていたらやはり、予定地は隣の敷地との事。
詳しく伺うと、この別荘は親が建築して現在は相続で兄弟名義になっており、Sさんは隣の土地を相続。 Sさんは兄弟があまり使わないというので、親の建てた別荘を利用して
敷地の畑で野菜を作ったりなど楽しんでいるが、やはり気兼ねなく使えるよう自分の別荘が欲しいと思っている・・。 ただ夫婦間ではそう思っているのだが、独立した子供たちがと意見合意していない
(説得しないといけない)事もあり特段、いつ迄に完成したい訳では無いとの事・・・。
そんな訳でSさんとは最初のうちは、特段急ぐ事も無く、のんびりと提案プランを作成しながら進めていたのですが、その頃、進めていた建築物件の工事がお客様の都合で契約の日取りが
空いていまい(方位とか日取りの吉凶関係) その間の仕事を小さな改造等で埋めるのは開きすぎ・・ また、規模の大きな仕事では工期が足らないと言う少し困った事に・・
そこで、Sさんにこの別荘の工事をお願いできないか相談した所、快く了解を頂き、建築する事となりました。
□ 別荘プラン
主に2人で使用する別荘で、コストの制約もあったため、規模はコンパクトでも、やはり、新築して良かったと思える空間を持った別荘になるよう考えました。
そのため、必要間取り寸法は、よくある「○○帖の部屋」と言う考えをすべて止め、必要家具配置寸法と動線の幅を考えた上、なるべく余計なスペースを減らしたプランに・・。
しかし、そうなると狭く感じる事も考えられるため、部屋の仕切を少なくしつつ、またプライバシーを確保しつつ緩やかに繋がるよう、配置や出入り口等の建具を配慮。
居間にOPEN階段を目立つ位置に配置し、スペースの有効活用と、吹き抜けのデザインポイントになるように・・。
冬はあまり使わないと言う事なので、窓のLO-E化は見送ったが、水抜きメンテナンスはSさんの希望により、今回も2KW蓄熱暖房機による水抜き不要システムとする事に・・。
□ 建築・完成
S邸建築中は、年末からの断熱材不足や、その後の震災の影響で、電気が止まったり、建材や器具類の入手困難などがあったがなんとか所定の断熱性能も落とさず
5月連休に間に合わせる事が出来ました。 また引き渡し後、Sさんからも「暖かいと」との事。 満足頂けたようで安心しました。
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■ 外観 |
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南東面の様子
ウッドデッキや2Fバルコニー部分は、屋根の内側部分で雨水があたりにくい
位置になるよなプランとした。
尚、デッキ木材はいつものように杉材を加工後、加圧注入防腐加工した後、
塗装後した後、ステンレスビスで組み付け仕上げとした。
尚、その他の外部仕上げ材下記の通り。
外壁下側 : 杉赤み材羽目板ノンロッド塗装
柱型・梁型・破風板 : 杉材ノンロッド塗装
外壁上側 : 窯業系サイディング貼り
屋根 : ガルバニウム鋼板葺
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南西面の様子
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■ 玄関・玄関ホール |
ホール側から玄関を見た様子。
吊り形状の靴入れにして、下側に
明かり取りのFIXを付けた。
それにより、収納量が確保されつつ軽さが感じられ、
玄関が狭く感じないようなデザインになったと思う。
収納の反対側は間仕切壁スペースを利用した飾り棚。
構造強度上、筋交いが必要だったため、奥行きがあまり取れな
かったが、1輪差し花瓶を置くと丁度良い感じに・・・。
壁右上の蒼く見えるのはSさんが用意した
陶器製のハンガー掛け。
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夜、ドア入り口側から見た様子。
昼と同じ効果をねらい、蛍光灯20W照明を入れた
この照明だが、本当はもう少し暗く色味も黄色系で
細長い形状の建築化照明専用の器具を使いたく悩んだが、総照明器具代の
バランスから見ても価格が高すぎるため断念した部分・・。
玄関ホールから居間側を見た様子。
左側の寝室の入口引き戸と、窓状間仕切り戸を
開くと、居間との一体感が出てくる。
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■ 居間 ・キッチン |
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室内の仕上げは、壁はビニールクロス。
床は桜節あり無垢材のフローリング
吹抜天井は 石膏ボードの上に柳杉加工板(赤み選定品)
梁はRW集成材かんな掛WAX仕上げ。
居間の掃き出し窓は、段差のないノンレールサッシを採用。
上部の窓は景観・採光と共に、夏の熱気抜き通風用も
兼ねている。一番高い位置の窓はリモコンにて開閉可能。
したいとの事から設置。(窓は内側から外側窓拭可)
手すりは景観を悪くせず軽く見えるようにステンレスパイプとスチールワイヤーを使用した。
手すり上部笠木は、下からみてシャープに見えるような形状に工夫してみた
写真右 キャットウオークに立って上がり口を見た様子・・・。
奥に見えるのは窓拭道具や脚立収納のため物入、上がり降りを安全にする縦手摺
オープンキッチンなので吊り戸棚は無いが、
引き出し式収納タイプのキッチンなので収納量は十分すぎる程ある。
天板は石目調ホワイトの人工大理石。
キッチンは対面型オープンキッチンを採用
キッチン壁の2枚のデザインされたポイントタイルは
Sさんが趣味で今まで収集したタイルで、似合いそうなので取付。
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居間食堂側から玄関側を見た様子。
居間より食堂・キッチン側を見た様子。
右側の壁のくぼみのスペースは、搬入予定の
アップライトピアノをすっきり置けるように設計。
対面収納部分のカウンター(家電棚・配膳用)はヤマハ製
上部は木材で棚板を取付て見せるタイプの収納に
壁は白い150角タイルとボーダータイルを棚板や窓部分を含め
綺麗に収まるよう寸法割して貼り付けた。
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■ 1階寝室 |
ベットの奥に見える大きな建具は右側を引くとクロゼット
左側を開けると入り口になっている。
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写真左 入り口と間仕切りの引戸を開けた様子
普段、夫婦2人で使用する機会が多い事から
引き戸は開けている方が多いようである。
写真右は、寝室の戸を閉めた状態。 |
■ 階段・2階ロフト |
階段上からの様子。
今回、照明器具のコスト削減のため、下記の照明器具
をブラケットやシーリングライトとして多用した。
取付位置や場所を工夫する事で、かなり格好良く出来た
と思っている。
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2F北面にある多目的に使えるロフト。 来客時に寝室が足りない場合、
予備の寝室としても使えるよう、寝具物入れも付いている。
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■ 2階和室 |
2階の南面に面した部屋を、来客時の寝室の用途を考え和室とした。
尚、壁の仕上げはビニールクロス仕上げ。
天井は、屋根勾配に合わた斜め天井で
石膏ボードの上に柳杉加工板(赤み)を糊付張り仕上げ。
南面窓は木製バルコニーを付ける事で掃き出し窓とした。
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■ トイレ |
■ 洗面 |
トイレはINAXのタンクレス便器サティス
床奥のガラリは、水道凍結防止用の蓄熱暖房熱を
室内暖房に利用出来るようにするための放熱ガラリ。
今回、トイレの手洗カウンターと上部にトイレットペーパ等を
収納出来る鏡付物入れは、規格品を使わず製作した。
尚、トイレの照明は鏡付物入の上下にミニクリプトンライトを付け
間接照明とした。
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洗面所はナラのカウンターに陶器洗面器を取付。
今回も、カウンターの下側は水道凍結防止システムの
熱源と給湯ボイラーを収納するスペースとした。
(詳しい解説は冬の凍結防止対策で・・。)
写真下は洗面カウンターのメンテナンス扉を開いた様子。
右がユニデールの2KW深夜電力蓄熱暖房機
左が灯油配管式のFF給湯器
洗面北面は洗濯機スペースと物入れになっている
上部はOPEN棚板と分電盤。
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■ 別荘の湿気対策に有効な換気システム |
□ はじめに
使われていない建物は傷み易いと言うのは本当で、長期不在が多い別荘用途の建物は、湿気がこもり易く、室内全体がカビ易くなります。
実際、湿気が少ない北軽井沢のような土地でも、普通の住宅程度(建築基準法レベル)で行う湿気対策では、建築後5~10年ほどで、大抵どこかしら室内で、カビ被害が出てきてしまいます。
そのため当社では、別荘に湿気がこもらないように幾つか対策を取っていますが、今回紹介するのはその内の1つで、24時間換気システムを使った別荘の湿気(水分)の排出方法です。
現在、(平成15年から)建築基準法でシックハウス症候群対策として24時間換気システムの取付が義務付になっています。
ですから、当然これから作る別荘では、24時間換気システムは取付しなければならず、それを使っての湿気排出は可能です。
でも、別荘全体の湿気が排出が出来て、さらに別荘のように、使用しない期間が長い場合でも(1~2年位)メンテナンス不要で維持費も少なく湿気排気が続けられるシステムとなると、ごく一部の製品しか対応できないのです。 もちろん、ここで紹介するの、先程提示した能力を持った製品です。
ちなみに、ここで紹介する換気システムを、分類分けすると、「第三種集中排気型換気システム」の種類に属し、その中で、「換気システム内の圧損抵抗を極力減らすような構造」をしたタイプになります。
・・・しかし、ほとんどの人が、これでは、意味がわからないでしょうから、もうすこし説明すると・・。
□ 第三種集中排気型換気システム
第三種と言うのは、建物の換気をする際、排気のみ機械で行う方式(下イラスト)・・・つまり今回のシステムに当てはめて簡単な説明に直すと・・・、
家の中の湿気や臭いのある空気を、換気システム(機械)を使って強制的に外に出します。 そのことで、屋内の空気圧が下がるので、空気圧の高い外部から、外壁などに取り付けた空気取り入れ口のための隙間(外気給気口 写真⑥)を通って、新鮮な外気を自然流入させ、建物内の空気を入れ換えるタイプとなります。
また、集中排気型換気システムは、名前の通り、各部屋の吸気口から吸い込んだ空気を、換気システム本体(写真②)に集中させ、1カ所に纏めて排出するタイプです。
尚、この方式の良い所は吸気口の位置を、臭いや湿気などが多い場所・・、押入、納戸、トイレ、浴室、台所等・・(写真③、④、⑤)から行うので、換気経路が建物全体に及び、
建物の一部で湿気が籠もる事が無く換気できる点です。
ちなみに、多くの建築会社は、個別の換気扇を、建築法規で求められる居室のみ24時間換気対応している場合が多く、居室以外の押入、納戸、トイレ、浴室、玄関などは換気経路外です。
□ 換気システム内の圧損抵抗を極力減らすような構造とは
先程説明した、第三種集中排気型換気システムは、メーカーや型式で多少の違いはありますが、本体基本構造はどれも同じで、内部に回転数制御出来るシロッコファンと、本体から
排気するダクトが一箇所、室内からの吸い込み口が複数箇所となっています。
その中で、換気システム内の圧損抵抗を極力減らすような構造をしたタイプと言うのは、かなり略して言えば ダクト配管に、太いダクトを使う事を前提とした換気システムです。
判り易い用に例を挙げますが、同じ第三種集中排気型と言っても、下の写真のAをのような約90~100mmの程度の吸気ダクト口を持つタイプと、Bのような50mmタイプに分かれます
(尚、これはどちらが優れている訳で無く、使用用途別で作られれている部分もあるためA、B共に同じメーカーで選択しました。 )
A(写真②参照) |
B |
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吸気口(100φ)6ヶ所
排気口(150φ)1ヶ所
寸法 410×460×H215
消費電力 65W~2.4W
騒音 40db~22db
換気能力(0Pa時)
520m3/h~135m3/h |
吸気口(50φ)4ヶ所
排気口(100φ)1ヶ所
寸法 412×470×H190
消費電力 39W~4W
騒音 40db~22db
換気能力(0Pa時)
250m3/h~9.5m3/h
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まずAとBのカタログスペックを比較して、たぶん一番目に付くにが、換気能力の最大値の差でしょう
この数値だけで計算すると、Aでは130坪、Bでは62坪(注1)まで対応出来る事になります。 しかし、この数値は、(0Pa時)。つまり、本体のみの性能を計測したもので、実際は、この数値は出ません。
ダクトを使った換気システムでは、それぞれの部屋から吸い込んだ空気がダクト内を移動する際に、ダクト内壁面や曲がりなどで、摩擦を受けロスをしてしまう分があるのです。(このような物を含め流体移動の際に出来る抵抗を圧力損失抵抗(圧損抵抗)(注2)と言います。) 尚、メーカーの資料では、Aは最大90坪くらいは対応可。 Bは20~30坪程度向けとあります。
いずれにせよ、今回のS別邸の規模(必要換気量130m3)では、Bでもなんとか能力的に対応可能だったはずです。 しかも、Bの方が価格も少し安く、なにより、ダクトが細いので、ダクト配管の取り廻しに苦労しないで済みます。
しかし、配管が細くなる事は、その分ダクト内の空気の流れが速くなる事につながります。 それは結果的にダクトの抵抗も増え、そのため本体の換気能力引き上げると流速が上がるので、また抵抗が増えると言う、あまり良くない循環になります。 なにしろ、50φと100φのダクトを比較すると、ダクト面積では4倍差ですが、圧損抵抗値では約40倍差です。
ですから、もしBでS別邸の換気システムを採用した場合、ダクトの圧損抵抗を計算に入れると、たぶんmax近く・・・(1~9までの目盛りで8か9あたり)で運転しないと換気量が確保出来ないでしょう・・・。
それに比べAで実際換気しているS別邸では、1~9までの目盛りで2.5で設定済みです。
この事はBを採用した場合、電気代で400円~450円/月位なのが、Aだと80円/月で済むと言う差もありますが、それ以上にBの騒音量がmaxに近い40db近くなのに比べ、
Aでは騒音量もごく小さいレベルで済むと言う方が大きいでしょう。
尚、この音の差は、就寝時で比較すればとんでもない差ですし、当社のような気密性が良く騒音が入りにくい家や、別荘のように閑静な場所での音は、廻りが静かな分だけ静音性が求められます。
注1 1坪/1時間の必要換気量算定方法 天井高2.4m×1坪(1.82m×1.82m)×法定必要換気回数0.5/h=3.97m3 A 520÷3.97= 130.9坪 B 250÷3.97= 62.9坪
注2 換気システムの圧損抵抗で差の付きやすい部分は、ダクト部分の、ダクトの太さや曲がり、長さ、ダクト内の気流の早さ以外では、排気フードの防虫網の有無、本体などのフィルターの有無(フィルターがあった場合そこに付いた埃も抵抗になります。)、1種熱交換換気の場合の熱交換素子などが考えられます。 尚、A、Bの機種共、フードの防虫網や本体などのフィルターはありません
□ 換気システムまとめ
これま、当社で採用している換気システムの良い面を説明してきましたが、欠点と言うか、注意しなければならない点があります(これが出来ないと欠点になります。)
そこで最後のまとめとして、利点と欠点を説明して今回の特集を終了します。
○ 利点
1、 確実な空気の流れを作り、押入なども含め建物全体で換気するため、湿気や臭いなどが一部で籠もる事無く排気出来、別荘室内のカビ対策に有効。
2、 別荘を使わない期間の換気能力喪失の心配が無い。
換気システム本体に、フィルターが付いていない構造になっているため、1~2年程度メンテナンスは不要。 (別荘に来ている間に時折、換気扇の羽根に付いた埃を落とす程度でOK)
ちなみに、フィルターが付いているシステムだと1~2カ月に1回程度の清掃が必要で、フィルターに埃が付きすぎると強い圧損抵抗となり完全に換気能力を失ってしまう。
そのため、頻繁の別荘に来てメンテナンスするか、別荘管理会社などに特別に対応して貰う・・・のどちらかの対応が必要です。
3、他のシステムに比べても、特に運転音が静かで、電気代などの維持費がかからない。
4、排気フードのメンテナンスが不要な上、蜂や鳥などの進入の心配も無い。
別荘で起こりうるトラブルで、排気フードから鳥や蜂が進入して巣作りする事があります。 それを防ぐ意味もあり、別荘での排気フードでは防虫網付が望ましいのですが、それは逆に、圧損抵抗を増やし、埃詰まりの原因にもなります。 今回紹介している換気システムの純正排気フードには、圧損抵抗になるため防虫網が付いてませんが、常に排気圧力が、かかるため鳥や蜂は近づけなません。(フィルター詰まりがないので、排気圧力が無くなった間に進入される心配も無い)
○ 欠点
1、気密性性能が高くないと換気計画通りに空気が移動しない。
気密性能の低いと、吸気グリルに近い隙間から空気が吸い込まれ、その分、予定していた給気口位置からの外気供給が無くなる事で、気流の流れが起きず、吸気グリルから遠い湿気や臭いなどが取り残されるてしまいます。 また冬の内外温度差や、外部の風などで影響が強くなり、気流が乱れ易くなります。 尚、これらは機械換気全般に言える事ではありますが、第三種換気方式では、特段の気密性能が求められるのです。
2、 冬時期の外気給気口近くは、外の冷たい空気がそのまま入って来るため、給気位置や通風経路の工夫が必要。
外気給気口から、外の冷たい空気がそのまま入って来ると言っても、高い位置にある吸気口からの冷気は、落ちながら攪拌され(冷たい空気は重い)混じり合い、通風経路に
沿って少し移動した時点で、ほぼ温度差が無くなる。 だから給気口位置をあまり人の近づかない場所に配置するとか、給気口位置下側に暖房を配置する などの配慮で特別寒くは感じなくなるのですが、何も考えない(知らない)で給気口配置をすると後に後悔します。 特にベッド上部の位置に給気口付ける事は絶対避けるべきでしょう。
3、設計プランが完成してから、換気計画のプランを当て嵌めるだけでは、うまくいかない場合もある。
湿気や臭いを残さず換気するためには、押入などに設置された吸気位置から、部屋を挟み横断するような位置に給気口を取り付ける必要があります。
しかし、この条件を満たしながら、さらに欠点2でも書いた条件をクリアするのは結構難しいと思います。 実際私の場合は、平面、立面プラン作成後の換気プランを検討した段階で、
あまり上手くいかないと感じた場合、うまい給気口位置になるよう窓の移動やサイズの変更をしたり、暖房器具の配置を考え直すなど、プラン段階に戻り修正する事もめずらしくありません。
これは、私のようにプラン設計と換気計画の両方していれば簡単な事ですが、基本プラン作成者と、換気計画を作成した人が違う場合(換気システムメーカーに換気計画図の作成依頼した場合など)、特に
プランに暖房位置や家具配置が明示されていない場合などは、お互いの意志疎通を上手くしないと、良い換気計画とはならないケースも出てきます。
4、太いダクトを取り回す為の配管スペース確保が必要
集中型の換気システムを施工するには、1・2Fの天井裏などに換気ダクトを引き回す必要があるのですが、1Fと2Fに夾まれた狭い天井裏空間では梁や桁が邪魔して思うように配管できない事があります。 その場合の対応方法として、ダクトが50φであれば、梁や桁に穴を開けても問題無かったり、補強程度で済むケースが多いのですが、100φのダクト用に桁や梁に穴を開けるのは強度不足になりやすいため、殆ど無理と言っていいでしょう。 そうなると、どうしても梁の下にダクトを通さざるを得ないため、その部分に係わる部屋の天井が低くなるか、部分的にダクトのパイプスペースを作るなどして対応しなければならないケースが出てきます。
これらは設計段階で意匠デザイン面も含め検討されてあれば良いのですが、そうでない場合、場当たり的にダクトスペースを作ることになり、デザイン面で不自然な仕上がりになってしまう事も考えられます。 特に別荘では、デザイン上、化粧で梁を見せたり、吹き抜け部分が多い事などから、ダクト配管の取り回し方法や、配管スペースをどうするか、構造面なども含め事前に検討しておく必要があるでしょう。
※ 今回、色々説明不足の点が多いとは思っているのですが、全て説明するには文章分量が多すぎるため、例えば、他の換気システムと比較した時の理由、この他の湿気対策方方法、なぜ別荘内部はカビ易いか?、などについて、それぞれ別の特集で詳しく説明する予定です。 (現在執筆中なので順次UPしていきます。)
詳しい事は別荘建築のアドバイスの特集
■ 別荘とカビ①条件と材料 カビの発生条件と材料 2011/12UP
■ 別荘とカビ④室内編1 室内カビの対策と防湿工事について (現在執筆中)
■ 別荘とカビ⑤室内編2 湿気排出と換気システムの種類 (現在執筆中)
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写真①
浴室点検口上に設置した換気システム本体
室内で吸気した空気は本体まで100φの
ダクト配管で移動する
。
写真②
換気システム本体まで100φで移動した空気は本体で合流し
写真右側の150φ配管にて外に排出される。
写真③
ユニットバス付属の換気扇を無くし、換気用排気グリルを付け
浴室内の湿気は換気システムで常時排気している。
この使い方だと、浴室使用時の湿気はさすがに増えるが
夜に入浴した場合、朝迄には居間などから引っぱった、
暖かい空気を常時換気するので浴室は乾燥する。
上のパイプは、その乾燥具合を狙って、浴室で物干しするように付けた物。
浴室に開口する窓がないのは、窓を開けたり、多少気密性の良くない窓だと、
常時排気しているグリルに近い窓位置から外気を引っぱってしまい、
浴室ドア下からの大きな流れが無くなるので、かえって浴室は乾きにくくなるのに加え
若干窓の価格が上がるのと、別荘の場合外の景色を楽しむのに枠が増えると邪魔。
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写真④
1F寝室クロゼット納戸に設置した排気用グリル
普通、クロゼットや押入は寝具や服から水分供給され、
通気の悪さから湿気がそのまま籠もりやすい部分。
この部分から排気し、引き戸下から空気供給される事で
納戸内の寝具や服のカビや湿気を防ぐ
写真⑤
2Fロフト押入の設置した排気用グリル
この部分からも室内
写真⑤
自然給気口。 新鮮な外気はここから入り写真④に流れて移動する。
尚、冬は給気口~経路沿いが寒くなるので、ベッド頭側の取付は×。
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断熱データー
屋根断熱 高性能グラスウール16kg品150mm 天井断熱部分 吹き込みブローイング断熱材 ロックウール300mm 壁断熱 高性能グラスウール16kg品100mm
床断熱 押し出し発砲ポリスチレン3種40mm
窓 シャノンプラスチックサッシ ・YKKアルミ+樹脂複合サッシ ガラス12mmペア ドア 木製建具工製作 押し出し発砲ポリスチレン断熱材30mm挟み込み
暖房機器 灯油配管式FFヒーター 1台 深夜電力利用蓄熱暖房機 ユニデール2KW品(洗面床下暖房及び水抜き不要システムを兼用)
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換気 3種セントラル換気 日本住環境ルフロ400
住宅住宅瑕疵保険加入会社 ハウスジーメン
■ 冬の凍結防止対策
お問い合わせのはこちらから (^-^)
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